小動物の頭骨データ Luuranko
京都市動物園・伊藤英之先生のご協力により,小動物の頭骨をマイクロCT計測することができました.CT画像をSTLデータに加工しましたので,3Dプリンターで頭骨の骨格標本を作ります.
データファイル
STLデータをOSFというファイル保管場所を通して提供しています.こちらからダウンロードできます.
Open-Source Skull Model Luuranko
もう少しきれいなデータにできると思うのですが,STLデータの取り扱いに慣れておらず,現状でお許しください.Formlabs社の光造形3DプリンターForm2で造形できることを確認しています.
1_Itachi_head.stl
1_Itachi_jaw.stl
イタチの頭骨と顎骨
(左:造形物,右:実物)
2_FlyingFox_head.stl
2_FlyingFox_jaw.stl
インドオオコウモリの頭骨と顎骨
(左:造形物,右:実物)
3_SlowLoris_head.stl
3_SlowLoris_jaw.stl
スローロリスの頭骨と顎骨
(左:造形物,右:実物)
4_Meerkat_head.stl
4_Meerkat_jaw.stl
ミーアキャットの頭骨と顎骨
(左:造形物,右:実物)
step 01
マイクロCTによる形態計測
マイクロCT(Bruker社 SKYSCAN1172)を用いて,頭骨と顎骨の形態を撮像しました.撮像の分解能は27 µm/pixel,断層画像のサイズは1936×1936 pixelsです.撮像時間は1試料あたり3〜5時間でした.
step 02
CT断層像の三次元再構築
画像データが大きすぎるので,断層画像の縦横サイズを1/4に縮小しました.また,連続する4枚の画像から画素値を平均した新しい画像1枚を生成することによって,厚さ方向も1/4に縮小しました.この処理によって分解能108 µm/pixelのデータになりました.
つぎに,Materialise社のソフトウェア「Mimics Innovation Suite」で画像の閾値処理を行って骨部分を抽出し,3Dモデルを作成しました.さらに,同社のソフトウェア「3-matic」へデータ転送し,エラー修正した後にSTLデータ化しました.
step 03
3Dプリンター出力
STLデータをFormlabs社のソフトウェアPreFormで開き,造形方向とレイアウトを決め,サポートを自動生成させました.同社の光造形3DプリンターForm2を使って,積層厚さ100 µmで造形しました.造形時間は4〜6時間でした.
step 04
造形物の仕上げ
イソプロピルアルコールで余分な樹脂を洗浄し,乾燥させた後にサポート材を切除しました.造形物はたくさんのサポート材に支えられています.
step 05
完成
完成です.左から,イタチ,インドオオコウモリ,スローロリス,ミーアキャットの頭骨・顎骨(手前:実物,奥:造形物)です.
透明な樹脂で造形したので輪郭形状が分かりにくかったです.そのかわりに,骨の厚みの違いが外から透けて見えます.頭蓋骨の厚みが場所によって異なることや鼻の奥の副鼻腔と呼ばれる空間の構造がよく分かります.
簡単に拡大・縮小したモデルを造形できます.写真はスローロリス頭骨・顎骨で,左:2倍体の造形物,右上:実物,右下:等倍の造形物,です.